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2020-12-29

脳卒中とパーキンソン病の訪問リハビリテーションについて大泉学園の理学療法士に聞いてみた

脳血管障害後におこる麻痺とは

聞き覚えのある脳出血や脳梗塞といった疾患は大きくまとめて脳血管障害(脳卒中)と呼ばれます。脳内の血管が破れる(脳出血)もしくは詰まる(脳梗塞)ことにより、脳組織に障害をもたらします。障害を受ける部位により後遺症として現れる症状は様々にあり、生命中枢と呼ばれる脳幹に近いほど重篤な後遺症を引き起こします。この後遺症のひとつとして挙げられるのが麻痺ただしくは*運動麻痺*と呼ばれる症状になります。この運動麻痺には感覚の麻痺や筋肉の緊張の亢進といった症状が合併することが多くあります。

障害される部位によっては高次脳機能障害という言語、記憶、注意、情緒といった認知機能の低下も引き起こします。例えば、病前よりも注意力が散漫になりやすくなったり、怒りっぽくなったり、記憶力が悪くなったりなどです。

このように後遺症として現れる症状はひとそれぞれ大きく違っており、したがって提供されるリハビリテーションの内容も変わってきます。

保谷大泉学園の理学療法士の実例訪問リハビリ

【80歳台 右片麻痺(2年前に脳出血)】

・関節可動域運動:麻痺側の関節可動域制限の予防。

・筋力増強運動:非麻痺側の上下肢、体幹を強化することで動作の安定化。

・基本動作練習:日常生活において介助量の軽減。

・歩行練習:移動手段の獲得。場合によっては車いすの自走練習。

・環境整備(手すりや段差の改修):自宅内で安全に過ごすために最小限転倒やケガのリスクを軽減する。

上記が発症後数年経過している片麻痺の患者に対するオーソドックスなリハビリテーションの内容になります。身体状況、社会状況によってリハビリテーションの内容は大きく変わると思ってください。

パーキンソン病について

黒質の細胞が変性することにより、ドパミン産生が低下し、スムーズに体を動かせなくなる神経変性疾患。
パーキンソン病の症状には無動、筋固縮、振戦、姿勢反射障害といった運動症状(4大症状)があり、これらが日常生活において制限をもたらすことが多い。また、嗅覚障害、自律神経障害(便秘、起立性低血圧、排尿障害など)、認知障害、睡眠障害、幻覚、うつ、無気力といた非運動性症状もあります。

これらの要因により、日常生活活動において不動の要素が高まり、関節の動きや筋力、心肺機能の低下などを引き起こします。

パーキンソン病の運動症状は、日内変動という特徴があり、名前の通り、一日の中で症状の浮き沈みがあります。症状が強く出ている場合だと、動作において徐々に動きが遅くなり、瞬きを含めた全動作が停止します。よって、この日内変動が大きく現れている患者によっては症状が比較的軽い時間を狙ってリハビリテーションを行うことが望ましいと言えます。

パーキンソン病に対するリハビリテーションのポイント

上記のような運動症状は*手がかり*と呼ばれる外部からの何らかの感覚刺激により改善することがあります。例を挙げると、無動+姿勢反射障害によりすくみ足、小刻み歩行、加速歩行といった著名な歩行障害をきたしている方に対し、階段や平面であれば印をつけるといった環境で運動を行うことで症状を抑制できることができることがあります。視覚からの情報が運動の補助となっているのです。その他、足踏みの声掛けも聴覚を通した刺激となり有効と言えます。

リハビリテーションの内容を簡潔にまとめますと、以下のようになります。

・固縮(可動域制限・筋力低下):関節可動域運動、筋力増強運動

・無動(運動抑制による活動性の低下):関節可動域運動、筋力増強運動、基本動作練習、環境整備

・姿勢反射障害:姿勢矯正、バランス練習

上記の運動メニューはあくまで例であるため、個人によって症状は出方が違います。リハビリセラピストが直接、患者の状態を評価したうえでリハビリテーションを行っていくことで有効な効果が得られます。